2018年9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震では、札幌市内も震度4から6弱(東区)の揺れに見舞われました。国内初のブラックアウトによってホテル営業にも大きな影響が出ましたが、数日後には通常営業に復旧しました。
また、北海道ふっこう割がスタートしてからは徐々に観光客の出足が戻りつつあります。地震発生直後の札幌の街とホテルの様子を振り返ってみました。
震度6弱の揺れにも負けなかった!札幌市東区のホテル
札幌市東区には2軒のビジネスホテルがありますが、震度6弱の揺れにもかかわらず建物への被害はなく、停電復帰後は正常営業に戻っています。地震の揺れに負けなかった2軒のホテルをご紹介します。1軒目はホテルユキタ(北36条東14丁目)です。
丘珠空港からタクシーで約10分、函館・釧路・利尻島方面への飛行機利用に便利な立地です。特に函館発の最終便では、空から函館・札幌両方の夕暮れや夜景を楽しめるので、列車やバスとはひと味違った楽しみ方ができます。
ホテル近くには朝8時から営業のトヨタレンタカーの営業所があり、市街地のレンタカー営業所と比較すると待ち時間が少ないので、翌朝の観光スタートがスムーズでしょう。また、全ての部屋に設置されているミニキッチンで、地元食材を使った手料理を楽しむのも面白いでしょう。
ホテル近くにスーパーがあるので、食材やお酒の調達にも便利です。2軒目はアーバンホテルマルコー札幌(北17条東1丁目)です。地下鉄南北線北18条駅・東豊線北13条東駅から徒歩6分、大通・札幌駅エリアから少し離れていますが、北海道大学へのアクセスには便利で受験生には注目です。
13時チェックイン開始なのを活かして、札幌までの道中は普段着でのびのびと過ごし、部屋で着替えてから午後のビジネスや観光に出かけるという使い方もできます。2軒とも設備の古さは否めませんが、連休や雪まつりシーズンといった繁忙期でも1泊1万円以内で比較的安く宿泊できるので、格安航空券と組み合わせてリーズナブルな北海道旅行に活用してはいかがでしょうか。
地震発生後約20分で北海道内全域が停電したが、ホテルの創意工夫で観光客の不安を緩和
午前3時07分、私は石狩市内の自宅でデスクワークをしていたところ、椅子ごと体が吹き飛ぶほどの横揺れに見舞われました。揺れが始まって数秒後に停電、緊急地震速報のアラームとほぼ同時に空全体が白く光りました。
当日は台風一過の晴天で雷が落ちたとは思えず、「ただ事ではない何かが起こった」と直感しました。揺れが収まって2分くらいで停電が復旧して安心したのもつかの間、3時25分頃に再び停電したのです。停電の瞬間、近所ともども静まり返った感じがしたのを覚えています。
北海道電力ホームページの停電速報はサーバーダウンでアクセスできず、近くの北海道電力の営業所に電話して停電復旧見込みを確認したところ、旭川も函館も苫小牧も停電していて復旧のめどがたたないことを知りました。
苫小牧は火力発電所の近く、函館は本州(東北電力)の電力線との接続点であることを私は知っていたので、1週間は停電が続くと覚悟を決めました。地震から4時間ほど経過した午前7時のニュースで、北海道内すべての発電所が停止したことが明らかになりました。
その後の停電復旧状況ですが、6日夕方に復旧した場所、8日早朝に復旧した場所など様々でしたが、札幌市内では7日の22時頃には大部分の地区で停電が解消されたようです。
停電の間、札幌市内をはじめ全道各地のホテルではエレベーターや館内電話の利用停止、給水・給湯の制限などの影響が発生しました。公共交通機関の運行も停止する中、できる限り観光客の不安を和らげるべく延泊を無料化したり、手書きのインフォメーションボードで外国語を含めた情報提供を行ったりする等のサービスが提供されていました。
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市街地のコンビニでは食べ物を求める観光客の姿も
地震直後から札幌近辺のコンビニは大混雑でしたが、お客・店員とも比較的落ちついて行動していたように思えます。飲食店が軒並み閉店し、ホテル内レストランでの食事提供もままならない中、観光客にとってコンビニの存在は、食べ物を得るための重要拠点となったことでしょう。
セブンイレブンでは非常用電源でレジを稼働させ、クレジットカードや電子マネーでの支払にも対応していました。停電の影響でカード・電子マネー決済が不可となる店舗が多かった中、手持ち現金を確保しながら飲み物や食べ物を調達できたことはありがたかったです。
ただ、飲食物の個数制限を行わない店舗では、一部の客による買い占めを他の客がたしなめるという場面もありました。災害時こそ、一人でも多くの人に飲食物が行き渡るよう配慮したいものです。セイコーマートでは、店内の調理設備を活用しておにぎりや揚げ物を提供していました。
他コンビニチェーンでは店内調理品の提供が不可能だったのですが、ガス器具が備わったセイコーマートだからこそ温かい商品を提供できたのでしょう。また、ある店舗では自動車(プリウス)から電源を取ってレジを稼働させていました。
車1台でコンビニ営業を確保できるのには驚きでした。
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ほとんどの信号機が消灯、ドライバー同士のコミュニケーションや警察官の手信号で交通確保
停電中はほとんどの信号機が消灯していたため、主要交差点では警察官が立ち、手信号で24時間体制の交通整理を行っていました。一方、警察官不在の交差点では、ドライバーや歩行者同士の「あうんの呼吸」で安全な通行が実現していたのが実情でした。
2車線・3車線道路では、隣に並んだドライバーと「○台目のトラックが通過したら進もう」などのコミュニケーションを取る場面がありましたし、歩行者が道路を横断する場面では、ある程度の人数がまとまって横断して車の混乱を避ける配慮も見られました。
あおり運転や歩行者妨害などの交通違反が取り沙汰される中、信号機が消灯している間は紳士的なドライバーが多かった印象です。
札幌市内の地下鉄・市電の運行再開は地震翌日、JRの運行再開は路線ごとに大きく異なった
地震直後は札幌圏の公共交通機関のほとんどが運休に追い込まれましたが、9月7日午後には札幌市内の地下鉄・路面電車、そして新千歳空港発着の航空便が再開されました。一方、JRの復旧時期は路線によってまちまちで、最初に復旧した路線は札幌と新千歳空港を結ぶ快速電車でした。
札幌から函館・旭川方面への特急列車の運行再開は9月9日、釧路・稚内方面の復旧は9月14日、そしてローカル線の一部区間では9月23日の復旧と時間がかかり、観光への影響は大きかったと思われます。